140AKB4?
ばらしたブラウン管について調査しました。ネットに当時のカタログがころがってました。
ayTu_74493475/1974_Matsushita_Electronics_Semiconductors-Cathode_Ray_Tubes-Electron_Tubes.pdf
すぺっく?
サイズは5inchですね。ヒータは12.6Vです。
ヘビーローテーションなCRTですな。というかもろAKBですね。グリッドは4つか?
アノード電圧は8kVになります。レイアウトはこんな感じ。
グリッドが3段あります。これはバイポテンシャル型らしいです。一般的なTVと同じようににフォーカスは電界型、偏向は磁界型です。
5番グリッドに-9V, 中間グリッド2番に400V, 最後の7番グリッドに-9V~0Vで可変できるようになっています。したがって、以下の状況と同じになります。
これを140AKB4にあてはめると、一番左側が-9V, 真ん中が400V, 一番右側が-9~0Vとなります。したがって、左から平行に入射した電子は焦点位置の1点に集まります。このようにすると、電界型のレンズを実現できるので焦点位置を調整できます。これは、カメラのフォーカス調整と同じ理屈になります。
偏向コイル
しょぼいLCRメータで偏向コイルのパラメータを計測すると、垂直偏向コイルは13.4Ω, 16.73mH, 水平コイルは1.0Ω, 0.27mHでした。
水平測定値
垂直測定値
水平は15kHz, 垂直は60Hzで駆動するのでインピーダンスを求めると、次のようになります。
抵抗値 | インダクタンス | 周波数 | インピーダンス | 実部 | 虚部 | |
水平コイル | 1.0Ω | 0.27mH | 15kHz | \[Z=25.46=\sqrt{1^2 + (0.27 \times 2 \pi \times 15)^2 }\] | 1.0 | 25.44 |
垂直コイル | 13.4Ω | 18.39mH | 60Hz | \[Z=15.08=\sqrt{13.4^2 + (0.01839 \times 2 \pi \times 60)^2 }\] | 13.5 | 6.93 |
実部と虚部を比較すると、水平は25倍程度異なりますが、垂直方向は半分度です。したがって、水平コイルは純粋なインダクタとして見なせますが、垂直方向は抵抗成分を考慮して偏向する必要がありますね。
垂直は周波数が低いため、インダクタンスを大きくする必要があことが原因かと思います。
水平偏向
水平コイルはほとんど、インダクタ成分だけなりますので電流\( i \)と電圧\( v \)の関係は次式となります。初期値は0です。
\[ i = \frac{1}{L} \int_0^T v \ dt\]
上式より矩形波状の電圧を与えるだけで、ランプ状の電流を流すことができることがわかります。実際にはのこぎり波状に電流を流す必要があるので、降下時には電圧を高くするか、ダンパダイオードなどを用意して降下を早める必要があります。
垂直偏向
垂直コイルは抵抗分とインダクタンス成分を両方考慮する必要があるので、のこぎりは電流を流すためには電流のフィードバックが必要です。ググってみると専用ICがいくつか出てきますし、抵抗分が大きいので発熱も大きくなるようです。
フィードバック回路になるので、極の設計が必要になります。
また、別の機会に設計編を書きたいと思います!
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